2007年05月

ANAシステムトラブルを考える.

昨日,富山へ1泊で出張だったため,もろに,全日空のシステムトラブルに巻き込まれた.
知人から,「あなたは,出張が大いので,ひょっとして,テレビを眺めていたら映るかも? と思ってテレビを見ていた」と言われたのですが,はい.その通りです.私は空港にいました.ただし,ずっと羽田にいたわけではなく,払い戻しを受け,そのままタクシーで東京駅へ.どうにか,列車を乗り継ぎ,その日のうちに,富山まで4時間弱をかけ,たどり着いたわけだ.

今回の事件について,いろいろとWebを見た.メインフレーム上でFortranで動いていた既存のシステムが,PCベースのシステムに移行中で,トラブルを起こしたらしく,「やはり,安定性が求められる場所には,メインフレームでなくては..」という意見が,あちらこちらで出るのではないだろうか.

自治体の行政システムも以前はメインフレームだったけど,今は多くがPCベースに移行した.電話等のライフラインに近い基幹システムも同じ傾向で,メインフレーム派は,なんとか巻き返しをしたいところだろう.実際,メインフレームからPCベースのシステムへの移行段階で,今回のANAのようなシステムトラブルが多発することは大いに予想できる.そして,そのたびに,「やはり,メインフレームが」という意見が出されるのだろう.

正直に言えば,製造現場を周り,今は農業にも取り組んでいる立場からすると,現在のインターネットを取り巻くテクノロジーのいい加減さを実感することが大い.データ転送の仕組みを考えてみると,実感される方も多いのではないだろうか.製造業分野の方に,「インターネットは難しくて..」と言われると,「皮肉??」と思うことすらある.実際,ものづくりの技術蓄積と奥深さというのは,ITをやっている人には想像がつかないものであるし,それは,人間が伝統的に培ってきた行為や制度にしても同じ.どうも,IT
関連の人は,これらを軽視する傾向が気になる.もちろんトラブルが少ない方がよいのだが,今のITの技術レベルでは,また同種のトラブルが起こるのだろう.だから,トラブルからどうやって対処するかを考えなければいけない.今回は,そのよい教訓になったのではないか.

もちろん,「トラブルが起きて当たり前」では駄目で,起きないような努力はすべき.そのうえで,万一の場合を考えておかなければいけないわけだ.ここで大事なのが,もう何度も書いている「現場の大切さ」ということ.現場をふまえたシステム設計運用をしていれば,対処ができる.今回のANAのトラブルについて,私が直面して気になった点は,「全く,トラブルが起こることを想定していない,万一の際の現場というものを意識せずにシステム設計運用がなされていたのではないかという事だ.

1. チケットレスサービスを選択していた乗客は,基本的に,その場でキャンセル手続きを取らなければいけなかった

2. 飛行場に,現在のトラブル状況を大きく示すようなサインが,新たに設けられてはいなかった

という点がまず自分自身の経験の中で気になった点である.もちろん,私は,ANAの基幹システムについて,全く把握していないので見当違いかもしれないが,それはあしからず.

まず,上述1点目だが,携帯でチェックインできるチケットレスサービスを選択する客は,ANAが優良顧客と位置づける,乗降回数が多いビジネス客が主体だ.これらビジネス客は,スケジュールを非常に重視する.時間が惜しいから飛行機を利用している.それなのに,時間がたくさんある観光客は,チケットレスでないので,後から郵送でキャンセル処理ができるのに,チケットレスサービス利用客はその場で並んでキャンセル処理をしなければいけない.欠航であれば,搭乗できないのが明らかなわけで,もっと迅速な処理ができたのではないだろうか.これは,システム設計の問題でもあるし,オペレーションの問題でもある.

次に,2点目についてだが,これは,今のIT社会がもたらした弊害なのかもしれない.きれいに整った空間に,張り紙や立て札を立てるという発想がないのだろうか.私が空港に到着すると,そこには,人が溢れていた.彼らの怒りや雑談の声がノイズとなり,館内放送は非常に聞きづらい状況だった.飛行機の搭乗案内の電子掲示板を見ると,「欠航」の文字が.しかし,そこでは理由がわからない.結局,携帯電話からネットにつなぎ,状況を把握した.大学が麻疹による休講を大きく校門前に張り出したように,トラブル発生に関する概要説明が,目立つところに張られなかったのは何故なのか.あるいは,どこかに行けば張ってあったのかもしれないが,少なくとも,私が東京駅まで乗車したタクシーの運転手は,朝から羽田にいたのにもかかわらず,状況を正確には把握していなかった.ITが普及すると,物理的な情報伝達が弱くなるのだろうか.張り紙を増やすのはたいした手間ではなく,非常に有効な方法である.ようは,ITだけに頼るのでは満足に対処が進まない状況がこのようなトラブルの際にはあるということだ.

これら2つのことは,非常に小さな話である.ただ,どちらも,現場を知らない方々が,机上で議論をして設計構築したシステムでは,同種の問題が,繰り返し発生しかねない話ではないだろうか.

今回のトラブルは概ね半日で復旧し,ANAの信頼は,根底から覆されたわけではない.ぜひ,今回のトラブルを教訓にしてほしい.今のITに関与している人の多くは,現在のインターネット関連技術を過信しているように思う.もう一度,現場に立ち返る勇気,努力を忘れないことが,万一のトラブルを迅速かつ的確に乗り切ることにつながるのだと思う.

出版記念対談

先日上梓させていただいた,「計算不可能性の設計」の出版を記念し,丸の内OAZO「丸善」で,記念対談の開催が決まった

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ウェイツ「計算不可能性を設計する」刊行記念トークショー

宮台真司氏×神成淳司氏  「計算不可能性を設計する」ライブ版

6月25日(月) 午後7時から

丸善丸の内本店 3階 日経セミナールーム

定員150名様

丸善丸の内本店3階インフォメーションカウンターにて先着150名に入場券を販売.入場料1,000円(税込)電話予約可

※定員になり次第受付終了

ご予約およびお問い合わせ

丸善丸の内本店 和書グループ 03-5288-8881(営業時間 9:00~21:00)

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よろしければ,参加ください.

セカンドライフ

日経の主催する研究会の主査をすることになった.今日が第一回目の研究会.今日の様子は,以下を参照

セカンドライフの現在と未来

会場は,70名を超える参加者.最近の日経のこの手の研究会としては,かなり多い人数ということで,会場は一杯だった.

今回の概要については,上記の記事を読んでもらえればわかると思う.私としては,今日の最初にも話したのだが,この研究会で,以下の3点について考えたいと思っている.

1. セカンドライフのような,仮想世界が今後広がるにつれ,現実社会(一次的現実)との間にどのような軋轢が生じ,どのような課題が存在するのか.

2. この種の仮想世界を支える技術の今後の先行きがどのようになっており,それが,これらの世界をどのように拡張していくのか.

3. このような二次的現実(仮想世界)と一次的現実(現実世界)とが様々な絡み合いをしていく中で,我々は,どのような社会システムをデザインし,どのようなプロダクトを世に出そうとしているのか.

セカンドライフも,様々な制約を進めようとしている.しかし,それが,どこまでリアリティを持つのか.
「現時点では,二次的現実がどれほどリアリティを増そうとも,そこでの懲罰は,現実の身体を傷つけるわけではない」からだ.

ringoさんのコメント

定期的に議論をさせていただいている,ringoさんに,書籍を差し上げて,「おもしろかったら,感想を書いてね」と申し上げたら,早速,感想を書いていただけた.

ringoさんのblog

ringoさんは,私が知る中で,最も尊敬できるエンジニアの一人である.議論をしていて,正直に申し上げて適わないなと思うことも多い.ringoさんは,私に弟子入りと書いているが,私こそ,ringoさんに弟子入りしたいくらいである.

さて,SFCで教鞭を取るようになり,早,1ヶ月半が過ぎようとしている.予想よりもばたばたと,忙しい毎日を送っている.このWebにしても,もう少し早く公開する予定が,GWになり,更新も滞りがちである.

ただ,この忙しさは心地よい.人間が日々振る舞い行動する中で,感動するということは大事なことだ.対談の中でも触れたが,人の行為に感動する,思考に感動するという瞬間を味わえるのであれば,それは,何にも変えられない事だと思う.美しいとは,何も,ダンスやパフォーマンス,あるいは,純粋な天才の思考に触れる事だけからのみ得られる事ではない.日々の暮らしの中に埋没しているし,それゆえにさらに感動するものもある.SFCにいる時間とは,そのような感動を実感する瞬間であり,だからこそ,心地よいのだと思う.

その中で,自分が進んでいく方向性や興味が見えてくる.だから,「一生懸命」ではなく,「一所懸命」でもなく,「一瞬懸命」でありたい.

2006年までの私の研究テーマ

2006年3月まで岐阜を活動拠点としておりました.その際に興味を抱いていたトピックを整理してみました(今は,この他のテーマにも取り組んでいますが,下記3点に興味があることは変わりません.

今までの私の主な研究テーマ(興味)は以下の3点でした.

1点目は,日本の競争力の源泉である「ものづくり」と情報技術とのコラボレーションの推進です.現在,市販されている製造業向けソフトウェアの多くは,コスト低減を目的としたソリューションを支援する事に主眼がおかれた大企業向けのものです.しかし,コスト低減を進めるだけでは,人件費が高い日本の国際競争力を維持する事は出来ないでしょう.「ものづくり王国日本」の競争力を支えてきた,高い技術力を持つ中小規模の製造業の競争力強化は,10年後の日本経済を考えたとき不可欠な取り組みではないでしょうか.岐阜県内の中小製造業各社の協力により,彼らの競争力を維持し更に高めるためのソフトウェアの研究開発を行なっています.

2点目は,地域社会,地域経済の中長期的な持続性を持つ成長モデルを築くための行政の在り方です.この行政の在り方として,従来良く提唱されてきたオープンソース概念を拡張し,「オープンリソース」という概念を新たに提唱し,地域政策との具体的な連携を深めています.この概念に関しては,日経デジタルコアに掲載された私の記事,あるいは日経ビジネス(2003年12月15日号,一刀論断)等を参照ください.

3点目は,地域における人材教育です.特色のない情報教育は,地域経済活性化に結びつきません.各地域における教育は,その地域の産業に根ざした視点で実施する必要があるのではないでしょうか.「夢を持たない若者が多い」という発言を聞く事がありますが,それは「夢を持つ事が難しい世の中」となってしまった背景の影響も大きいと思います.自分自身や学生の成果の現実社会への適用を積極的に行なう「産学連携」を推進する姿勢が学術機関には必要とされます.この際,現実社会における連携先として,大手企業を想定するだけでなく,その地域の産業界との連携を深める事が,地方における学術機関の取るべき姿ではないでしょうか.

2006年度の活動

昨年度の主な活動です.ざっと記憶にあるものを,まとめて掲載...

2007年3月15日
地域の「既存産業」活性化へ新たな産学官連携・岐阜県のねらい

2007年3月9日
MIC Report vol.2

2007年2月16日
MIC岐阜提携記念講演会「IT が切り開く、これからの地場産業」

2007年1月25日
イノベーティブ社会基盤フォーラム「イノベーションを育む環境をどう構築するか」

2007年1月15日
地域・中小メカトロニクス企業のIT活用戦略」

2006年11月30日
情報社会のデザイン 合同シンポジウム「基調 挨拶」

2006年10月20日
京都大学フィールド情報学セミナー 情報MOT「事例」

2006年8月30日
社会におけるAI研究会 第1回「社会に対するAIの技術適用」

2006年8月5日
IAMAS Open House 「ITの活かし方」

2006年6月7日
人工知能学会全国大会 「社会におけるAI研究」

宮台さんのWebに..

今回,Webを公開する前,3月の話ですが,宮台さんのWebに,共著の本が紹介されています.持ち上げられているため,結構,照れます(^^;; が,紹介しておきます.
天才アーキテクト神成淳司氏との共著本『計算不可能性を設計する』まもなく上梓!

第一回バーチャル新世界研究会

以下の研究会を,私が主査で開催します.
宮台さんとの対談本の内容とも関係がある,結構ユニークな内容となると思いますので興味がある方は積極的に参加ください.

なお,下記,紹介者が必要と書いてありますが,ご連絡いただければ,私が紹介者となることも可能ですので,ご相談ください..

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日経デジタルコア 第1回バーチャル新世界研究会
「セカンドライフは新たな世界の夢を見るか?」開催のご案内

近年、ブロードバンドの普及、ハードウエア・ソフトウエアの性能向上などを背景に、かつて空想の世界にあったようなネット上の擬似社会が現実のものとなりつつあります。

その最新状況について情報共有するとともに、それによって可能になることを考え、逆に懸念される問題を検証するのがこの研究会の目的です。

特にこの研究会では、リアル社会とネット上の社会とのかかわり方、その文脈に注目したいと考えています。例えば、ネット上の社会での経済活動や社会的行動にリアル社会のルールやモデルがどこまで適用可能なのか、といった点などです。そうした具体的な議論をふまえながら、この「バーチャルな新世界」が、人類の歴史においてどのような意味を持つことになるのか、意見を交わしていきます。

第1回となる研究会では、仮想世界提供サービス「セカンドライフ」を中心に議論を進めます。

米リンデンラボ社が2003年からスタートさせた「セカンドライフ」は、2006年に急激にユーザー数を伸ばし、すでに登録者は500万人を越えています。これまで仮想世界に最も近い存在といえたネットワークゲーム(多人数参加型ロールプレイングゲームなど)とは一線を画し、米ドルと交換可能な仮想通貨によって経済活動ができる、という特徴を持ったサービスです。ロイター通信やIBMといった実際の企業も参加しており、日本企業も相次いでセカンドライフ内に「出店」する動きを見せています。

今後は、同様のサービスの開始にも注目が集まります。ソニー・コンピュータエンタテインメントはプレイステーション3を使ったユーザーコミュニティーである「Home」を3月に発表しました。それがセカンドライフとどのように異なり、どのようなビジネスモデルを描いているのかも話題のひとつです。

今回、講師にはお二方をお招きしました。まず、ゲーム産業に関する気鋭のジャーナリストであり、大学、専門学校でも教鞭を取る新清士氏。NIKKEI NETに連載中の「ゲームスクランブル」は人気のコラムとなっています。

「新清士のゲームスクランブル」
http://it.nikkei.co.jp/digital/column/gamescramble.aspx

ジャーナリストの視点から、セカンドライフのユニークさ・ヒットの背景、Homeの展開予想、これらのサービスによるゲーム以外の産業への波及効果などを分析していただきます。

そして、セカンドライフ上で実際にさまざまな体験をしたユーザーの視点から、佐々木博氏にそこで何が起きているのかを紹介いただきます。最近はNHK教育テレビ「趣味悠々」のパソコン講座でおなじみの佐々木氏は、インターネット、ウェログ、動画配信、オンラインゲームなど、この10年に起きたネット界の様々な動きを常に先取りし、かつ自ら実践していることで知られています。この研究会では、セカンドライフ内での土地売買など、経験に基づいたリアルなレポートを聞けるものと期待しています。

また、この研究会の主査はデジタルコアに設立当初からご参加いただいてきたメンバーの1人であり、このほど社会学者の宮台真司氏との対談集「計算不可能性を設計する」を上梓し、社会とITとの接点についての考察を投げかけている神成淳司氏(慶應義塾大学講師)にお願いしました。

ご参加希望の方は、下記申し込み票にてお申し込み下さい。皆さまの積極的なご参加をお待ち申し上げております。

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 日経デジタルコア 第1回 バーチャル新世界研究会
   「セカンドライフは新世界の夢を見るか?」

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【開催概要】

日 時 : 5月21日(月) 14:00 - 16:00
      
会 場 : 東京国際フォーラム(有楽町駅前)G610室
      http://www.t-i-forum.co.jp/function/map/index.html
      http://www.t-i-forum.co.jp/general/guide/index.php
      「ガラス棟(Gブロック)」の6階になります。

定 員 : 50名

参加費 : 無料

申込締切: 5月14日(月)まで
 (※下記フォーマットにてお申し込みください。)

参加対象:デジタルコアメンバーまたはその紹介者

プログラム:

14:00-14:05 新研究会設置について

 研究会主査 神成 淳司氏(デジタルコアメンバー、慶應義塾大学講師)

14:05-14:45 講演

 佐々木 博氏(NHK教育テレビ「趣味悠々」番組講師)

14:45-15:25 講演

 新 清士氏(ゲームジャーナリスト、立命館大学映像学部講師)

15:25-16:00 Q&A、フリーディスカッション

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下記に所属・氏名を記載頂いた申し込み票が、勉強会への「登録証」となります。

当日、お越しの際に、プリントアウトした申し込み票(所属・氏名記載済み)をご提示頂きますようお願い致します。


==================== 申し込み票 =======================

ご記入の上、日経デジタルコア事務局 
digitalcore@nex.nikkei.co.jp 宛 ご返信下さい。

   第1回 バーチャル新世界研究会に参加します。
    
    御所属:
    御名前:

※メンバー以外の方がご参加の際は、下記に紹介者名をご記入
 くださいますようお願いいたします。

   ご紹介者:

 現在のメンバーリストは、下記をご参照ください。
 http://eforum.nikkeidigitalcore.jp/memberlistpublic.php


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日 時:5月21日(月) 14:00 - 16:00
会 場:東京国際フォーラム(有楽町駅前)G610室

Web再開します.

長らく更新していませんでしたが,www.kaminari.org を再開します.